尊敬から恋愛へ発展する流れ
尊敬のはじまりは憧れ
同性にしろ異性にしろ、自分にないものを持っている人に対しては、「すごいなあ」とか「自分もそうなりたい」といった憧れの気持ちを持つ方も多いのではないでしょうか。
尊敬とは、この憧れる気持ちがいくつも積み重なって生まれる感情のことです。その人の何を尊敬するかは、見る人の視点によって千差万別。「誰に対しても親切」「行動力にすぐれている」「いつも笑顔を絶やさない」といった内面に関することがらから、「足が速い」「数学が得意」「達筆である」といった目に見えてわかりやすい特性までじつにさまざまです。
尊敬することは、自分の欠点を認めること
誰かに尊敬の念を抱くのは、自分自身の弱さやコンプレックスを認めることから始まります。なぜなら、尊敬する対象は自分が「やりたくてもできないこと」あるいは「やれそうもないこと」が“できる”からです。たとえば、陸上部のA君は100mを12秒台で走ることが目標です。そのため、100mを11秒台で走ることができるB君を尊敬しています。つまりA君は、B君のすごさを認めることによって、目標をクリアできない自分自身の弱点と向き合っていることになります。
もし、A君が自らの弱点から目を逸らし、認めていなければ、B君に対する思いも尊敬ではなく、嫉妬になることでしょう。
尊敬の気持ちが積み重なると……
100mのタイムを見てB君を尊敬するようになったA君。彼を観察しているうちに、B君が誰よりも多く練習メニューをこなしていること、率先して部室の掃除をしていること、後輩の面倒見がよいことを知り、ますます尊敬するようになります。そして、いつしか尊敬という気持ちだけでは収まりきれず、愛する気持ちに変わっていくのです。A君とB君は男同士のため恋愛ではなく友愛という言葉が当てはまるかと思います。しかし、もしA君の恋愛対象が同性ならば恋愛感情に発展するでしょう。
愛のかたちはさまざまですからね。
恋愛感情には尊敬の念が含まれる
このように、ある特定の人物に対する尊敬の念が積み重なってくると、いつしか気持ちは尊敬ではなく愛へと昇華します。女性が尊敬する男性に対して恋愛感情を抱きやすいのも、尊敬の念が積み重なった結果と言えるでしょう。そもそも、憧れの人物に対しては正のバイアスがかかりやすいため、どのような一面を見ても良い性質と捉えてしまいがちです。尊敬する相手が恋愛対象となるのは時間の問題かと思われます。
ちなみに、尊敬から生まれた恋愛感情の場合、相手と両想いになると、自分のすべてを受け入れてもらえたという気持ちが起こります。なぜなら、尊敬とはそもそも自身の弱さやコンプレックスを認めることから始まるため、尊敬する相手から認められるということは、自分以外の人物からも弱さやコンプレックスを受け入れてもらえたことになるからです。
まとめ
あなたが、誰かを尊敬しているとき。それは、あなたが自身のコンプレックスと向き合い、成長するときかもしれません。あるいは、尊敬の気持ちが増して、愛情や友愛に発展するときかもしれません。いずれにしても良い兆しであることには変わりありません。尊敬できる相手に巡り会えたら、その幸運に感謝しましょう。